出産や育児は、誰にとっても大きな転機。
「子供ができても、自分なら今まで通り働けるはず」と思っていたのに、いざ復帰してみると、仕事と育児の両立の難しさに「この働き方で本当にいいのだろうか」と立ち止まる瞬間が訪れます。そんな時は「今さえ我慢すれば・・・」とやり過ごさず、是非立ち止まってみてほしいと思います。なぜなら今さえ我慢すれば、の「今」を大切にすることが、実は人生において大事なことだからです。
この記事では、私が8年間のワーママ経験と多くの働くママたちと関わる中で見えてきた「4つの価値観」と、それぞれのタイプに合う職場の特徴を紹介します。忙しい毎日で「自分は何がしたいのか」「どんな職場が合うのか」を考える時間が取れない方へ、15分で整理できるヒントをお届けします。キャリアを見直すきっかけになれば嬉しいです。
ワーママの働き方は二択じゃない
「ワーキングマザー=仕事重視か、子育て重視か」──そんな極端なイメージを持たれがちですが、実際にはその間に、もっと柔軟な働き方があります。
子供の乳幼児期にゆっくり時間を過ごし、小学生以降に再度キャリアアップする働き方が合う人もいれば、時間の融通がきく保育園時代にキャリアを積んでおき、小学生の間に子供と過ごす時間を取りたいと考える人もいます。
こうした選択に正解はなく、大切なのは「自分が納得し選んでいる」感覚があるかです。長期的な目線で選択肢を見直し、自分で選び取り、仕事と育児のペースをコントロールしている感覚をもつことができると、焦りを減らすことができます。
「仕事と子育ての両立」価値観診断
まずは、自分の考えを整理し、何を優先するかを明確にする簡単な診断をやってみましょう。時間に限りがあるワーママのキャリアは、「何かを諦める」のではなく、「優先順位を決めて計画的にクリアする」と考えることで前向きになります。下記のチャートで価値観を整理していきましょう。

どのタイプが一番しっくりきたでしょうか。 これはあくまでご自身の中の優先順位を確認する作業であり、結果に良い悪いはありません。 子育てに何よりも重要なのは「お母さんの心の安定」です。 自分の価値観や本音に蓋をしてばかりでは、お母さん自身の心がずっと安定しません。まずは自分がどうしたいかを知り、最もいいやり方でその状態を実現する方法を考えていきましょう。手段はいくらでもあるものです。
診断結果別の「働きやすい職場」の条件と選び方
診断結果によって、「働きやすい職場」の条件は少しずつ異なります。転職を考えるときは、自分に合った条件を満たす企業を選ぶことで、転職後も希望する働き方を実現しやすくなります
タイプ①「背中で見せる」働く親タイプ
フルタイムで働くお母さんが日々頑張る姿はちゃんと子どもに届いています。このタイプのワーママが「ここなら続けられる」と感じる職場には、共通するポイントがあります。
- 育児や介護などによる時間的制約が、昇進や評価に不利になりにくい社風や評価制度があること
- 自分の時間やエネルギーを注ぐに値すると感じられる「業界」「仕事内容」あるいは「企業」であること
- 時間単位の有給取得、フレックスタイム制等、柔軟に働き方を調整して成果が出せる環境であること
- 女性管理職の比率やワーキングマザーの活躍実績があり、女性にも正当に給与や待遇が還元される職場であること
このタイプのママが充実感を得る上では、会社が成果や努力を正当に評価してくれることが大前提です。 さらに、「この仕事に貴重な時間を投じたい」と思えるような事業内容や、会社としての魅力があることも、重要なポイントになります。
また、このタイプのママはどうしても体力的にハードモードになりやすいため、外部リソースを積極的に活用することが不可欠です。ストレスを感じている家事・育児の作業を書き出し、譲れない部分以外は思い切って外注することで、心身ともに健やかに働くことができます。
タイプ②「幼少期にそばにいてあげたい」タイプ
このタイプのワーママには、特に子どもが乳幼児期の期間の福利厚生がしっかり整った会社が向いています。また、一度ペースを落としても、子育てがひと段落したタイミングで昇進や異動に再チャレンジできる制度があると選択肢が大きく広がります。
- 子育て中の社員に対して理解があり、人員体制にもゆとりのある企業
- 育児休業の取得期間が比較的長く、制度が実際に活用されている企業
- 時短勤務の利用がしやすく、平均取得期間が長い企業
- 子育てに関連する特別休暇(日数)が充実している企業
- 時間単位の有給取得、在宅勤務など子供の体調不良に対応しやすい制度があること
- 自ら希望してキャリアチェンジに挑戦できる機会が制度として整っている企業
転職を検討する際は、こうした条件を事前に確認しておくことで、乳幼児期の子どもとの時間を大切にしながら、自分のキャリアも実現しやすくなります。
タイプ③「小学生の帰宅時間を重視したい」タイプ
実は、子どもが保育園に通っている時期の方が、小学校低学年期よりもフルタイムで働きやすいことが多いです。特に「小1の壁」と呼ばれるように、小学校に上がると子どもが家で過ごす時間が長くなり、宿題のサポートや夏休みの対応など、保育園時代とは違った寄り添い方が必要になります。
こうした生活の変化に時間をかけて対応したい、あるいは物心ついてきた子どもと対話の時間を大切にしたいと考え、小学校入学のタイミングで時短勤務に切り替える方も少なくありません。
そのような場合に選びたい職場の条件は下記です。
- 子どもが小学生以上になっても、時短勤務の利用が認められていること
- まとまった期間の休暇取得が可能な制度があること
- 時短勤務であっても、希望すれば昇進や昇給のチャンスがあること
- 自分の専門性が活かせる環境であること
- 年齢に関係なく、中長期的にキャリアを築ける風土や実績があること
小学生の子どもを育てる親の場合、自身の年齢が40代に差し掛かっていることも多いです。そのため、あぶらの乗った30代でキャリアのペースを落としても「ドロップアウト」と見なされることなく、限られた時間の中でも専門性を発揮でき、少しずつでも着実にキャリアを積み重ねていける環境であることが重要です。
タイプ④「子育て最優先・仕事は細く長く」タイプ
仕事は細く長く続けながら、できるだけ多くの時間を子育てにかけたいと考える方が該当します。この場合はできるだけ長い期間時短で働ける会社が希望にフィットします。時短制度をはじめとした子育て支援制度が充実しており、長く勤められる安定した規模の企業を選ぶのが向いています。
- 子どもが小学生以上になっても、時短勤務の利用が認められていること
- 子育て休暇、時間単位の有給取得制度など、子育ての都合に合わせて働きやすい制度が充実していること
- 長く勤められる安定した企業であること
- 年齢を重ねてからでも昇進や部署異動などのチャレンジが可能な社風があること
また、子どもが手を離れる小学校高学年以降には、自分自身の人生でどのような生きがいを追求したいかもあわせて考えておくと良いでしょう。今の会社で再び仕事に力を入れる道もあると良いですが、趣味をビジネスにしたり、以前から目指していた職業に挑戦する準備を進めることもできます。長期的に満足度の高いキャリアを築けるよう、ご自分のペースで一歩ずつ進めていきましょう。
おわりに
ワーキングマザーのキャリアプランは、今だけでなく3年後、5年後の未来を見据えて考えるとうまくいきます。時には、自分や家族の生活を守るために、あえて働き方をゆるめる選択も賢明です。 「頑張ればできるから」と常に全力を出し続ける必要はありません。今無理をするよりも、心身ともに健康に働き、中長期的に家族や社会に自分の力を還元できるあり方を見つけていきましょう。